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記事: FUMIKODA ファウンダー/クリエイティブ・ディレクター 幸田フミさんに聞く、ギフトの思い出

FUMIKODA ファウンダー/クリエイティブ・ディレクター 幸田フミさんに聞く、ギフトの思い出

FUMIKODA ファウンダー/クリエイティブ・ディレクター 幸田フミさんに聞く、ギフトの思い出

ウェブ制作会社の経営者であり、バッグブランド「FUMIKODA」のクリエイティブ・ディレクターでもある幸田さん。お仕事柄さまざまなギフトをいただく機会があるなかで、特に印象に残っているのは、伝統的な職人技が息づくアイテムなど、どこかストーリー性のあるものだそう。

世界に誇れる日本の伝統技術を再確認させてくれたコースター

「オリジナルバッグを制作するため、数年前から素材について調べ始めたのですが、とにかく日本製の素材の優秀さに驚きました」と幸田さん。実は海外の一流ブランドで使用されているものも多く、調べれば調べるほど興味を惹かれたという。そんな折、ビジネスパートナーが「KANAGU STORE」という日本製の金属雑貨を集めたギャラリーをプロデュース。出品ブランドのひとつである富山県の高岡銅器「モメンタムファクトリー・orii」のコースターをプレゼントしてくれたのだそう。

「高岡銅器は、富山県高岡市の城下町で約400年の歴史を持つ銅製品。もともとは仏像などお殿様に献上するための仏具制作が中心の産業だったのですが、現在はインテリア雑貨など新たなジャンルの開拓にも力を入れているそうです。なかでもこの鮮やかなターコイズブルーは、モメンタムファクトリーさんにしか作れないオリジナルカラーだそう。上品で華やかなブルーがひと目で気に入ってしまい、自分のバッグのパーツとしても使わせていただくことにしました」。

加工が必要な銅の着色やコーティングには、植物や米ぬか、日本酒や蜜蝋など、昔ながらのナチュラルな材料を用いたものも多く、環境に配慮した生産工程も共感ポイントだったそう。

「このパーツを使用したバッグは外国人のお客さまからの評判もよく、『この素材は何?』と質問されることもしばしば。自宅で使っているコースターも、お客さまにお出しした時の会話のきっかけになります。そこからバッグのご説明にも繋がったりして(笑)、とても重宝しています」。

ブランドデビューの思い出ごと贈られたクリスタルのリング

もともと、ターコイズブルーがお好きという幸田さん。この日身につけていたターコイズブルーがアクセントのリングも、お友だちからのギフトなのだそうです。

「このリングは、「FUMIKODA」がパリのトラノイという展示会でデビューした際、エージェント的な役割を担ってくれたフランス人の友人からいただいた「ラリック」のもの。展示会場の同じフロアにラリックのアクセサリーが出展していて、一緒にそのリングを見ながら「素敵ね」と話していたら、その後彼女が日本に来た時に突然プレゼントしてくれたんです。彼女とは、ブランド立ち上げをきっかけに知り合いましたが、同じママ同士すっかり意気投合し、プライーベートでも信頼し合える仲に。何より苦労を分かち合った彼女からの「トラノイでデビューした記念に」というギフトだったからこそ、いっそう心に響くものがありました。ラリックは日本だとグラスや花瓶の印象が強いので、今でもこれを見るたびにあの時の思い出が蘇ります」。

息子の成長をうれしく感じた初めてのサプライズギフト

そしてもうひとつ、忘れられないのが、息子さんが初めてサプライズでプレゼントしてくれたというカットガラスのタンブラー。13歳の時に、なんと自分で稼いだお金で買ってきてくれたのだとか。

「息子は昔からパソコンが得意で、10歳の頃からプログラミングなどをしていましたが、最近では動画をYouTubeにアップするように。いつの間にか30万ビューを超えるようなものも出てきて、多少のお小遣いになっているようです。現在は15歳で3年前からマレーシアに留学していますが、その時は夏休みに帰国したタイミングでデパートに行き、ギフト売り場でこれを選んできてくれました。13歳の男の子がひとりでデパートに買い物に行くということ自体、思いもよらなかったので本当に驚きましたが、留学してちょうど1年くらいが経った頃だったので、彼の中で成長があったのかもしれません。赤いリボンが掛かった包みは開けることさえもったいなくて、そのまま飾っておこうかと思っていたくらい感慨深いギフトでした」。

ギフトを贈る時は相手の心に響く“付加価値”にこだわる

ところで、幸田さんはお仕事柄、ギフトを贈る機会も多いそう。そんな時はどんなものを選ばれるのでしょうか?

「どうしたら印象的なものを差し上げられるだろうと考えるのですが・・・、その結果、オリジナルアイテムを作ってギフトにすることも多いです。私はグラフィックデザイナーなので、贈る方のイニシャルを入れたり、ロゴマークを作ったりして一筆箋をデザインすることも。そうでない場合は、やはり日本の伝統的な職人技が宿るアイテムや、最近では社会貢献性があるものも意識して選んでいます。たとえば、ベトナムの女性達に仕事を作り自立支援をサポートする「フーヒップ」というアクセサリーブランドがあるのですが、そういうアイテムをギフトにすると、受け取った方もとても喜んでくださいます。日本でデザインされ、素材も日本から送られているので、アイテムそのものも魅力的なのですが、贈られた方も支援の一端を担えるという部分がよいのではないでしょうか。私は、もともとファッション業界の人間ではないので、特にブランドに詳しいわけではありません。でもだからこそ、そのモノ自体のよさだけでなく、差し上げる方の心に届くような“付加価値”を大切にしています」。

写真/松谷靖之 取材・文/村上治子 2017.07.27

幸田フミ こうだふみ

FUMIKODAファウンダー/クリエイティブ・ディレクター/株式会社 ブープラン代表取締役。Parsons The New School of Design卒業後、ニューヨークのファッションマーケティング会社にウェブデザイナーとして勤務。帰国後にウェブデザイン会社、株式会社ブープランを創設。2016年には、働く女性のための機能とデザインを追求したバッグブランド「FUMIKODA」をプロデュース。パソコンを収納してもスマートに見えるデザインや、床置きにしても倒れないフォルム、また軽さや耐久性と環境への配慮を両立させるため高級車のシートに使う人工皮革を取り入れたり、デザインに変化をつけられるようフラップ部分を付け替え可能にするなど、数々の工夫を盛り込んだバッグが好評を博している。高岡銅器のパーツを使ったデザインも人気。

fumikoda.jp

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