気になるあの人に聞く、ギフトの思い出(第6回) アクセンチュア チーフ・マーケティング・イノベーター 加治慶光さん
日本コカ・コーラやタイム・ワーナー、日産などのグローバル企業を経て、現在も世界を股にかけてご活躍中の加治さん。 贈り贈られるギフトにも、その日常が垣間見えるようなエピソードを持つアイテムが並びます。
旅するごとに愛着が湧く トラベラーズノートを 親しい仲間にも
家族や友人、同僚など親しい人へ、折に触れてギフトを贈っているという加治さん。その回数は決して多くはないというものの、誕生日や昇進・転職記念、結婚祝いといった、いわゆるライフイベントの時には贈り物を欠かさないそう。つい先日も、会社を退職する後輩に、加治さんのお気に入りの一品をプレゼントしたばかり。 「このパスポートサイズの“トラベラーズノート”は、数年前に中目黒のショップでたまたま出会って以来、自分でも愛用しているものです。もともと何種類かのノートを仕事やプライベートなどの用途に応じて使い分けていたのですが、これはちょうど出張前に見つけたこともあって、旅のメモをする専用にしようと。当時、最初に購入したのは、革のカバーとノートリフィル、ゴムバンドとコットン製のケースがセットになったスターターキット。実際に使ううちに、持ち運びしやすいサイズ感や使い勝手の良さなどがあまりに気に入ってしまい、このキットを誰かへのギフトにと選ぶことも多くなりました。もう5~6人の方に差し上げているかな。リフィルにはスケジュール帳や罫線入りなど様々なバリエーションがあるので、追加購入して自分好みにカスタマイズできるのですが、僕が使っているのは当初からずっと変わらずに無地のタイプ。これに旅先で目にした風景やお店の雰囲気、飛行機の中で見た映画の感想など、毎回たわいもないことを書き込んでいますね。飛行機の半券や買い物をした際のレシートを貼ったりすることも。後に読み返した時、それが仕事のヒントに繋がることがあるんですよ」 旅に出かけるごとにリフィルを新調しているので、今使っているのはすでに15、6冊目になるのだとか。そんな加治さんのように、出張に出かける機会の多い人や旅好きの人に贈っているというトラベラーズノートは、まさに加治さんならではのセレクトです。
相手を喜ばせたいという 気持ちの伝わるギフトに より感動が増して
いっぽう、加治さんがこれまでに贈られて嬉しかったギフトとして印象に残っているのが、“ヴィスコンティのローラーボールペン”。 「約10数年前になりますが、当時僕が就職活動をしていた頃に相談に乗ってくださっていた方から、転職が無事に決まった際のお祝いにといただいたものでした。実は僕は文房具が好きで、とくに出張した時にはローラーボールペンかシャーペンを旅の記念に買うようにしています。選んでいるのは専業メーカーの製品で、かつ手持ちのステーショナリーにマッチするような黒とシルバーの配色になっているものがほとんど。そうした趣味をその方はさりげなくチェックしてくださっていたようで、包みを開けると僕の好みにぴったりのローラーボールペンが現れたのには感動しました。人生の転機というタイミングにいただいたことに加え、思いが伝わってくるようなギフトだったので、よりこのペンに対する思い入れが深くなりましたね」
シリーズで揃えるグラスは 関係性が長く続く 夫婦ならではの贈り物
奥様から毎年、誕生日にプレゼントされている“バカラのグラス”も、贈られて嬉しいものの一つ。 「僕が家でお酒を飲むことが多いからと、最初にプレゼントされてから14、5年、毎年違うグラスを贈ってもらっています。当初はロックグラスが続いていたんですが、ほぼ全種類が揃ったのか、ここ数年はワイングラスに変わりました。とはいっても、どれも僕専用のマイグラスになるわけではなくお客様にもお出ししているので、極めて実用的で合理的なギフトだと言えますね(笑)。バカラのアイテムは確かに高級品ではあるけれど法外な金額ではないし、一度手に入れたら末永く使えるものばかり。また、赤いギフトボックスにロゴ入りのリボンをかけたラッピングもおごそかで素敵ですよね。だから、僕も誰かにプレゼントを贈る際によく選んでいます」
好みの押しつけではなく 相手への気遣いを 心がけたギフト選びを
また、先日インドで行われた国際会議で、同僚がチームへのお土産にと選んでくれたギフトには感心することしきり。 「全世界から10数か国の人が集まって、お互いの国のことをよく知ろうというチームビルディング的な趣旨もある会議でした。そこで中国人の同僚が、上海の街並みをかたどった扇子形のオブジェを皆へのお土産に配ってくれたんです。洗練されたデザインはもちろん、それを見るだけで街を思い浮かべることができるという、秀逸なギフトだと思いましたね。何よりその同僚の皆を喜ばせようという気遣いが嬉しかったです」
そんな加治さんがギフトを贈る際に心がけていることとは? 「僕はその商品の作り手の思いが伝わってくるようなアイテムが好きなので、ギフトにもそういうものを選んでいることが多いかもしれません。ただし、相手に使ってもらえないようなものを差し上げても意味がない。だから、『この方に近々ギフトを贈る機会がありそうだな』と思ったら、あらかじめその方の好みをさりげなくリサーチしておき、喜んで使っていただけそうなものを贈るようにしています。作り手や贈る側、そして贈られる側の思いが重なっていくことで贈り物にも生命が宿り、さらにそれぞれのエピソードを紡いでいく。そんなギフトを贈ることができたら素敵ですよね」 写真/中田陽子 取材・文/河野真理子 2017.09.29