気になるあの人に聞く、ギフトの思い出(第4回) 都 村上裕子きもの教室 校長 村上裕子さん
着物の世界を通じて、“美しいものはひとを幸せにする”と実感しているという村上さん。 心を潤す豊かな色彩と、美しいデザインにまつわるギフトの思い出を教えていただきました。
幸せを振りまく 色のパワーを 大切なひとにも伝えたい
村上さんがギフトを贈る際には、“どんな方にも喜ばれるテッパンアイテム”があるのだそう。帝国ホテルや横浜元町などにショップを構える「タオルサロン カラカラ」のオリジナルエプロンが、それ。これまで、新米ママから年配の女性までさまざまな方に差し上げたというエプロンは、自身も15年ほど前にギフトとしていただいて以来の大ファン。バリエーション豊富なデザインから好みの色やパターンを少しずつ買い足しながら、長年愛用し続けているそうです。 「私がこれをいただいたのは、子ども達がまだ幼かった頃のこと。男の子ふたりなので、着せる服は大半が紺やグレーのベーシックカラー。私も黒っぽい服ばかり着ていたのですが、ある日友人から『男の子だからこそ、母親がもっときれいな色を見せてあげなくちゃ!』と贈られたのが、このカラフルなエプロンでした。内心は“派手じゃないかしら”と思いつつ、ネーム刺繍入りだったことがうれしくて身につけてみることに。すると、息子達がいつも以上に私のそばに寄ってくるようになったんです。にこにこ抱きついてくることも増え、さらには家の中までぱあっと明るくなったような気が。友人の言った通り、きれいな色は幸せを呼ぶのかもしれないと思いました」。
さらに、その翌年から着物の勉強を始めると、色のパワーをますます実感するように。 「着付け学校で着物の美しい色に頻繁に触れ、私自身が元気をもらっていたこともありますが、特に色の力を痛感したのは、父が入院した時。私はその頃“とにかく毎日着物で出かける”ということを実践している最中でした。とはいえ、やはりお見舞いに行く時は着物を着る気分にはなれなかったのですが、それでも、自分との約束を守ろうと半ば無理やり着て行ったところ、結果的に、父ばかりか重い病気を患っていた同室の方々にも、『気分が華やぐね!』と大変喜んでいただけたのです。また、お正月に家族が病室に集まった際は、みんなが黒っぽい服を着ているなか、私ひとり着物姿。ただ、ベッドの上にいた父は、その間中、ずっと私に視線を向けていて。きっとひとは自然と、心を潤してくれる美しい色に惹きつけられるものなのではないでしょうか」。 エプロンは、その使い勝手のよさもおすすめのポイントだそう。上質なパイル地と艶やかな模様は、まるでおしゃれな洋服感覚。家事の最中に宅急便が来てもエレガントに対応でき、ちょっと近所に用事がある時にも羽織ものを着ればそのまま外出できます。マルチカラーの総柄は、子どもがドロだらけの手で触っても汚れが目立たず安心。さらに、繰り返し洗ってもへたらない丈夫さは、いつまでも清潔感のある美しい状態をキープしてくれます。 「ちょうど最近も、お身内の介護をされている方にこのエプロンをプレゼントしたところ、『施設でつけているとスタッフや他のお年寄りの方々から褒められるから、張り合いに繋がるわ』と言っていただいたところ。美しい色に彩られたギフトは、差し上げた方のまわりにまで広く幸福感を届けられるのもメリットかもしれませんね」。
洗練された バッグから読み取れた 励ましや応援の気持ち
約15年前に初めて着物学校に通い始め、学べば学ぶほど着物の虜となっていった村上さんですが、この道に進む以前、独身時代にはアパレルメーカーの営業をしていたことも。そして当時、敬愛していた社長から贈られたクラッチバッグは、いまでも大切な宝物だそうです。 「当時勤めていたのはカットソーのメーカーで、メインで扱っていたのはTシャツなどのカジュアルアイテム。ただ私自身は昔からエレガントなファッションが好きだったので、Tシャツも工夫して女性らしくコーディネートしたりして、社内では少々異質な存在だったかもしれません。それでも、そんなスタイルを貫きながら仕事も頑張っていたら、いつの間にかトップセールスを達成するように。そんなある日、社長からいただいたのがこのRODOのクラッチバッグ。削ぎ落とされたタイムレスなデザインは、まさにエレガンスの極みですよね。何よりも、自分のスタイルを認められたような気がして、とてもうれしかったのを覚えています」。
また、着物を着るようになってからは、和装用のバッグがあまり好きになれず、スタイリングに悩んでいた時期もあったとか。 「和装用以外で着物に合うバッグというと、バーキンかドレス用のファーバッグしか思いつかなくて・・・。いつも同じものばかり持っていました。それを見兼ねた友人が、ある日この蝶柄のバッグをプレゼントしてくれたんです。柄もサイズもとにかく着物と相性抜群。ベースが白なのでどんな色にも合わせやすく、一見個性的な蝶柄は、抑えた色みで落ち着きがあり、着物に多い花柄にもぴったり。留め金が片手で簡単に開閉できるので、所作もスマートでいられるんですよ」。 見た目のよさだけでなく、使い勝手まで考え抜かれたギフトは、着物仲間ならでは。 「本当に気に入っていて、結局今度はこればかり使っています(笑)。さすがの選択眼に感動させられたと同時に、心を込めて吟味していただいたことが、とてもありがたかったですね」。 写真/目黒智子 取材・文/村上治子 2017.03.19