気になるあの人に聞く、ギフトの思い出 (第4回)

“ギフト上手”と評判のあの人は、どんなギフト体験をしているのでしょうか?
贈る時、贈られた時、特に印象深かった思い出について聞いてみました。

ひなみ 店主 かわばたゆりさん

京都で生まれ育ち、伝統的な日本の文化を愛する生粋の京都人、「ひなみ」店主のかわばたさん。
その心を掴んでいるのは、やはり、長きにわたって愛され続ける老舗の逸品のよう。

お世話になった方々へ
細やかな心遣いとともに贈る
日本の伝統的な文化

京都で生まれ育ち、絞り染職人の祖父と呉服屋を営む父の背中を見て育ったかわばたさんは、着物地をモダンにアレンジしたファッションや京都の伝統的な食文化を提供するお店「ひなみ」を経営されています。そんなかわばたさんは、ギフトを贈る際にも、歴史と伝統に支えられた老舗の名品を選ぶことが多いそう。
「毎年12月には、近所の方や友人などお歳暮を贈るよりもっと近しい間柄の方々に、一年間お世話になった感謝の気持ちを込めて『阿以波』の京うちわをお贈りします。『阿以波』は、元禄二年創業の老舗うちわ専門店で、宮廷で用いられた御所うちわの伝統技法を伝える京うちわは、現在では京都でもここでしか手に入らない貴重な逸品。また、うちわは、伝来した際には貴族が顔の前でかざしとして、また仰ぐ時にまわりに飛ぶ虫を払ったことから魔を祓うとされ、江戸時代には縁起物としてのうちわも誕生しました。そんな意味合いをもつうちわは、お正月の玄関に飾っていただくのにぴったり。毎年、新たな干支が描かれた飾りうちわを縁起物として差し上げています」。

「年の瀬は贈り物が集中する時季でもあるので、“相手に余計な手間を取らせない”のも、贈る側に必要な心配り」とかわばたさん。ギフトを選ぶ際は、“お返しに悩まないよう大儀でないもの”且つ“日持ちするもの”を心がけています。また、お店で贈り物を包装してもらう場合“無地熨斗”をつけることがありますが、それは京都では考えられないこと。
「熨斗をつけるには何かしらの目的があり、無地熨斗ではそれが相手の方へ伝わらず失礼に当たることも。包装をお願いする際には、“◯◯の御祝い”“御礼”など、贈る目的をきちんと伝えられるといいですね」。

「ひなみ」の人気商品である着物地を使ったバッグも、大切な方へのギフトとして購入される方が多いそう。
「着物地バッグが生まれたきっかけは、仕事をお持ちの女性のお客様に紙袋を利用されている方が多かったこと。日本古来の“大切なものを風呂敷で包む”という素晴らしい文化からヒントを得て、着物地を使ったトートバッグをデザインしてみようと思い立ちました。ご購入されたお客さまからは、御稽古されている方や着物をお召しになる方へお贈りいただいたと伺うことも。荷物をお持ちになる際に、心が伝わるようなお包みとしてお使いいただけたら嬉しいですね」。

深く感銘を受けた
歴史ある酒蔵の
にごり酒

一方、これまでにいただいたもののなかでは、歴史ある酒蔵の日本酒にとても感動したそう。
「もう10年ほど前になりますが、イタリアソムリエ協会のグループをご案内した際に、パーティで『月の桂』の社長さまより、にごり酒を振舞っていただきました。“米のスパークリング”とも呼ばれる日本の発泡酒には、ソムリエ協会の方々も興味津々。しっかりとした発砲と爽やかな味わいは大変おいしく、飲みにくいと思っていたにごり酒のイメージを一変させてくれました。『月の桂』は、300年以上の歴史を持つにごり酒発祥の蔵元。現代に生きながら、古来より受け継がれたお酒をいただける感慨深さも、老舗の酒蔵でこそ味わえる醍醐味だと思います」。

京都では、おめでたい年始のご挨拶の贈り物として老舗のお酒やお菓子を選ぶことも多いそう。かわばたさん自身も、このにごり酒に出合って以来、お年賀として差し上げたり、「ひなみ」で提供する京都の伝統的なお食事に合わせてお出ししたりしているそうです。
「『月の桂』の蔵を見学させていただいたこともあるのですが、歴史そのものを拝見したようで強く印象に残りました。お店でお酒を出させていただく際には、お酒そのものを味わっていただくだけでなく、そんなお話もお伝えするようにしています」。

 

【商品情報】
■うちわ
京うちわは、すべて手作業で作られる京都の伝統工芸品。迎春のお飾りにふさわしい、おめでたい干支の絵柄。
豆うちわ「干支 酉」¥4,320(税込)/京うちわ 阿以波 www.kyo-aiba.jp

■トートバッグ
通勤時のサブバッグとしても活躍してくれそう。あたたかみのある上品さと色彩の美しさは着物地ならでは。
着物地トートバッグ各¥3,500(税込)/ひなみ 祇園店 www.kyoto-hinami.jp

■日本酒(右の写真)
右:N.Y.の四つ星レストランでも提供されている“米のスパークリング”は、フレッシュでシャープな味わいが魅力。
京都・祝米純米大吟醸にごり酒(720ml)¥2,916(税込)、
左:無農薬栽培で育てた酒造好適米「祝」を使用。冴えた味わいとふっくらとした丸みが特長。
祝80%純米酒(720ml)¥1,512(税込)/ともに月の桂(増田徳兵衛商店) www.tsukinokatsura.co.jp

 

写真/滝浦哲 取材・文/村上治子

かわばたゆりかわばたゆり

「ひなみ」店主 /「ころも」ブランドディレクター
京都ならではの四季折々の行事や豊かな食文化、職人やアーティストたちの技や感性を
衣食住のなかに表現していくことをコンセプトに、さまざまな活動を行う。
京都市内に3店舗を持つ“京都の生活文化を提唱するお店”「ひなみ」店主であり、
日本の伝統的なテキスタイルである着物地を生かしたファッションブランド
「ころも」ブランドディレクター。
その他、伝統工芸のディレクターや飲食店のコンサルティングなど、多方面で活躍中。